車両に対する荷重Fが200kN(1トン車に対して許容される最大荷重)、θが20°のとき、Fwrは72.8kNとなる。摩擦係数μを0.25、L1、L2、Lをそれぞれ500mm,4385mm、4885mmに設定し、kをワイヤーロープの荷重変位曲線(カタログデータ)から3.26×10⁶(N・mm/mm)と設定して、上記の式(16)〜(21)の連立方程式を解けば、T1、T2、φ1、φ2、⊿L1、⊿L2は、それぞれ、113kN、72.4kN、36.9°、4.0°、17.3mm、97.4mmとなる(解は探索法により算出)。したがって、ワイヤーローに生じる最大張力はT1=113(kN)となり、破断荷重186kNよりも十分に小さい。よって、斜め衝突により、ワイヤーロープが破断して二次災害を引き起こす可能性は低いと考えられる。さらに、上記の考察はワイヤーロープ1本についてのものであるが、実際には、2本のワイヤーロープによって、慣性質量体および緩衝ボックスが拘束されており、もう一方のワイヤーロープが荷重を分担するため、さらに安全側での評価となっている。よって、ワイヤーロープの破断による各部品の飛散は考えられない。時速60km対応型ショックプロテクター、および時速70km、時速80km、時速100km対応型ショックプロテクターへ、1トン車両がその対応速度で斜め衝突(進入角度20°)した際に車両に発生する最大加速度は正面衝突時とほぼ同等と推定できる。さらに、斜め衝突によるワイヤーロープの破断についても許容重荷の範囲内で十分な飛散防止機能を有すると推定できる。ショックプロテクターの各部品(緩衝ボックス、慣性質量体)は、両端がベースプレートに固定されたワイヤーφ16により、飛散防止対策が施されている。ただし、斜め衝突によりワイヤーロープに生じる過大な張力により、ワイヤーロープが破断しないことを確認しておく必要がある。ワイヤーロープに働く荷重の関係は図7に示すとおりである。これら のつりあい関係から次式が成立する。ただし、式(21)および式(22)におけるkは、ワイヤーロープの単位長さあたりのばね定数を表している。また、Fwrは、ショックプロテクター設置方向に生じる荷重をFとすると、車両進入角度θを用いて次式で表せる。
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